求人募集を常にしている会社
「いつも求人募集している企業は止めた方がいいのか?」
今回のテーマはこちらになります。
転職を考えている方や、実際に転職活動をされている方とお話する機会や、相談されることも多いのですが、この質問をされる方はいつのタイミングにおいても一定数おります。
理由を聞いてみると、、、
いつも募集している求人(会社)というのは、人の定着が悪いのでいつまで経ってもそのポジションが埋まらず、結果的に年中募集を掛けている→つまりブラック企業が多い→だから止めておいた方が良い。
多少の違いはあれ、この質問を口にする方の見解は、上記のものであることがほとんどです。
私がこれまで質問された経験だけでなく、ネット上でもこういった質問と回答は多く、世間では「いつも求人募集している企業=人が定着しない悪い会社」という概念が少なからず定着しているのかな?と思ってしまいます。
しかし、常に求人募集している背景というのは様々であり、「いつも求人募集している=悪い会社」と見極められるほど単純ではありません。
企業が、なぜいつも求人募集しているのか?その背景についてご説明していきましょう。
これから拡大する業界
「常に求人募集を掛けている=人が定着しない」という考え方は、むしろ天邪鬼的な考え方であって、「常に求人募集を掛けている」ということは、人々のニーズが高い、伸びている会社(業界)ということになります。
求職者の方と面接をしていると、「必要とされる仕事、感謝される仕事」を望む方が多いのですが、まさに「求められている」わけです。
「いつも求人募集している」と多くの方がイメージされる業界でいうと、「介護」や「IT」などがあると思いますが、どちらも今後伸びる可能性が高く(既に伸びている)、携わってくれる方が必要とされている業界なのです。
採用してもまだ足りない業界や仕事は、ストレートに「人手がまだまだ足りない業界」であり、「伸びている会社」という見方をすることも出来ます。
求人募集している会社が、現在右肩上がりの状態で年々伸びている場合、当然人手が必要になってくるので、積極的に採用は行っているはずです。
そういった企業の場合、「良い人材」であればどんどん採用はしていきたいと思っているはずなので、チャンスを逃さない為、求人募集は常に行っています。
ペルソナ設定の甘い企業
「いつも求人募集をしている企業」というのは、単純に言えば採用が出来ていないわけで、採用したい人物に会えていない・逃げられている・そもそも応募が集まらない・・・など様々な要因を抱えているはずです。
そして、その大きな原因というのは「ペルソナ設定の甘さ」に繋がります。
ペルソナという言葉に馴染みのない方もいるかもしれませんが、マーケティングの世界では、「架空のユーザー像・人物モデル」という意味で使われおり、採用においては「採用したい人物像」という意味で使われています。
採用活動をする際、まず採用したい人のイメージ像の詳細を作成するのですが(住所、年齢、志向性、家族構成など)、採用が上手く行っていない原因を探ると、しっかりとペルソナ設定出来ていないケースが多いです。
「未経験でも構わないので、20代の男性で社会人経験があり普通の人、なるべく早めに入社して欲しい。」
資格が必要でない未経験可の職種で、よくある「裏募集要項」ですが、この一見広そうなスペックが、実は採用出来ない大きな要因になっているのです。
この条件に当てはまる人といえば?社会人20代で仕事をしていない状態の人になります。加えて大体こういった場合、企業側の「普通」のレベルが高いため、一向に応募など来るはずもなく、来たとしても全くお門違いの人物が申込をしてきます。
極端な例にはなりますが、実際に自社のレベル(知名度や規模、年収モデル)を考えず、応募者に対しての条件だけやたらと高く設定するケースも案外多いのです。
こういった企業は、悪い会社ではなく「ペルソナ設定が甘い」可能性が高いです。
言ってしまえば採用が下手なんですが・・・
人が定着し辛い業界
他には、人が定着しづらい業界という見方も出来ます。
例えば、医療業界や保育業界などは専門職で資格が必要になってくるだけに、「組織」への意識、組織人としての自覚が他の業界に比べて弱い印象があります。
「辞めてもどこかで就職すればよい」
飲食業界も定着しづらい印象があると思いますが、飲食関連の職種で「調理」の仕事に目を向けてみると、こちらも「手に職」となりますので、組織というよりも個人で動く印象があります。
また、アルバイト(特に学生)を多く雇用している業種に関しては、元々定着という概念が弱く、大幅に人が抜ける時期もあるため、やはり求人募集は頻繁に行われているはずです。
結局のところ業界や職種のイメージ
ここまで様々な背景と理由についてお伝えしてきましたが、結局のところ全ての根底にある理由としては「イメージ」が先行している部分が強いのではないかと思います。
求職者や転職を考えている方だけでなく、世間のイメージ全般での話になるのですが、例えばいつも求人募集していると聞いて、よく名前の出てくる業界に「IT業界・介護業界・飲食業界・医療業界」などがありますが、これまで出てきた背景で言えば、どこかに当てはまるものがあり、いつも募集をしているからブラック企業とはならないはずです。
恐らく殆んどの方がイメージする「ブラック企業の定義」とは、仕事内容もそうですが「残業時間の長さ」や「パワハラ」などを想像しているケースが多く、こういった行為は何も「業界」というものではないのです。
そもそもサービス業が長時間労働であるならば、医療業界は究極のサービス業であって、飲食店は営業時間があるので区切りがあるはずです。
そしてここで、「営業後の残業があるじゃないか」と思った方などはまさに業界や職種に対する偏見です。
いつも求人募集している会社を見つけた場合、まずはその背景を確認してみましょう。
簡単に「悪い会社」と思ってしまうのは勿体ないですし、もちろん本当に悪い会社の可能性だってあります。