ブラック企業の条件は?
今では当たり前のように使われるようになった「ブラック企業」という言葉が、普通に使用されるようになったのは2000年代に入った頃からでしょうか?
その定義に関しては曖昧で、どういった条件の企業がブラック企業なのか?という正式なものは存在しませんが、一般的には下記の様な傾向の会社を「ブラック企業」と捉える傾向かと思います。
労働時間が長い(サービス残業が多い)
給料が安い(最低賃金を下回る)
パワハラなどが常態化している
休日が少ない(休日出勤が多い)
退職者が多い
こんなところでしょうか?
採用活動をしていると、就職活動や転職活動をしている方は、このブラック企業に対しての警戒心が強く、必要以上に敏感だなと常日頃から感じています。
今回は、どんな所を気にすればいいのか?ブラック企業を見分ける方法はもちろんですが、「この項目が当てはまればブラック企業」と言われている項目を、本当にそうなのか?という観点を含め、改めて検証していきたいと思います。
ブラック企業は自分次第
そもそも冒頭で申し上げた通り、「どういった条件の企業がブラック企業なのか?という正式なものは存在しません」。あくまでも本人の捉え方次第になってきます。
どんなに残業が多かろうと、休日出勤が多かろうと、本人にとって働きやすい環境であれば、それは決してブラック企業などではなく「良い会社」なのです。
例えば業務量がやたらと多い会社があり、残業に追われ、休日出勤が慢性化していようが、周囲の何倍も仕事をすることで、とんでもなく成長するのであればそれはブラック企業ではなく、「成長できる会社」「成長できる職場」になるのです。
「ブラック企業」というキーワードに踊らされず、「自分の軸」を持って就職活動を行って下さい。
ネット情報に注意しよう
ネット社会の現代は情報に溢れています。
そのため、就活や転職活動においても企業情報をネットで探すケースが多いと思いますが、SNSなど含めてネット情報を信じ過ぎています。
全てが真実ではありません。
皆それを理解しているはずなのに、いざ自分が就活や転職活動の当事者になると、ネット情報を鵜呑みにしてしまう傾向をよく見かけます。
ネット情報に関しては、ぜひ下記2点は気に留めておいてください。
口コミサイトの書き込みを信じない
ここ数年で増えてきた(注目を浴びてきた)口コミサイト。
特に昨今は第三者からの評価を参考にする傾向が強いので、口コミサイトから情報を集める方も多いと思いますが、これは話半分くらい(特に悪い情報)が丁度いいです。
円満退職した方は、次の目標ややることがあるので書き込みしている暇はなく、悪い辞め方をした人が、腹いせに書きこみをしている可能性が高いです。
事実と向き合い、冷静に判断をして欲しいと思います。
大手は退職者も多い
これは大手が悪いという話ではなく、大手企業は社員数も多いので、イコール退職者の総数も多くなるということです。
そしてそれは、(勝手に)悪い印象を持って退職している人も多くなるということなので、必然的にそういった類の書き込みも増えるということ。
大手というよりも、社員数の多い会社のネガティブ書き込みは特に注意して下さい。
これはブラック企業のフラグなのか?
労働時間が長い
最近は「青少年雇用情報シート」の提出など含め、残業に関する情報を公開するようになってきましたが、正直実態は不明です。
多くの方が、「残業少ない・残業しないことを奨励=良い会社」と捉えていますが、働きやすいか?と聞かれたら、何とも言えないというのが正直な感想です。
残業が少ないということは、「同じ仕事量を業務内でいかに効率的に仕事を行うか?」ということになります。1分当たりにおける業務効率を濃くさせる必要があり、工夫が必要になってくるということなのです。
また有給休暇についても似たような話で、2019年から年間5日間の有給消化取得が義務になりましたが、この有給取得率もあくまで数字上での話になるので、有給を取得した上で持ち返って自宅で仕事をしている人を私は何人も知っています。
退職者が多い
退職者の多さというのはどこの数字で見るのでしょうか?
離職率なのでしょうか?
この離職率というのも厄介な数字で、母数をどこにするか?時期をいつにするか?によって大きく変わってきます。
新卒入社の離職率が低く中途が高い場合、合計の数字で算出された数字が平均的だったとしても、中途入社組にとっては馴染みにくい環境で、新卒はその逆になるかもしれません。
しかし数字上ではこの背景は分かりません。
「長くいる人が多い会社⁼良い会社」という考え方が、まだまだ日本におけるデフォルトになってっしまっているので、これまでの見方で退職率を参考にすると、独立志向の高い優秀な社員が集まる会社は、悪い会社になってしまい、ぬるま湯で年功序列の会社は良い会社という定義になってしまいます。
大量採用や常時採用している会社
「いつも求人募集している」「大量に採用している」
この辺りの項目も、ブラック企業の判断材料にしている方も多いと思います。
恐らくいつも「常時募集⁼人がよく辞める」「大量採用⁼使い捨て、辞める前提での採用」というような方程式なのだと思います。
この項目に関しては、前の「退職者が多い」というところに関わってくると思うのですが、やはり鵜呑みにしてはいけない部分です。
詳細は別でまとめているのでそちらをご参照下さい。
給料が安い
最近では「手当」を含んだ記載に詳細が必要になったので(みなし残業含めた金額の場合時間数など詳細の記載が必須になった)、露骨な求人は減ったと思いますが、「給料が安い。もっと上げて欲しい」というのは、いつの世も流行語のように言われていることです。
そもそも、給料などは必要であれば上げてくれるような気がしますが(特に給与規定のない小さい会社の場合)。。。
この給料の安さについては、少し判断が難しいのですが、「対価」が判断になるのではないでしょうか?
私も周囲の方を見ていて、1000万プレイヤーであっても不思議でない人もいれば、500万でも貰いすぎと思う人もいるわけで。。
話がそれましたが、給与に関しては「手当」には注意しましょう。
「確実に支払われる手当なのか(多少でも条件があるのか)?」「賞与の場合、算定基礎はどこの金額になるのか?」など基本的な部分です。
また複数社を比べる際、表に出ていない金額にも注目すべきです。
例えば2社内定を持っており、一方の会社の方が給与が高かったとしても、片方の会社の話しを詳しく聞いた場合、別で手当が出ており合計したら総額が逆転する場合がありますし、「補助」のような形で会社が負担する場合は表には出ない金額ですが、実際には年収に足されるようなものです。
まずはご自身の給与の全体像を把握して、他社の給与形態を確認してください。意外に理解されていない方も多い印象を受けます。
パワハラが常態化
これは難しい項目です。口コミサイトを見たくなるのもよく分かります。
明確な判断材料はないのですが、個人的に「パワハラ系」や「社風」に関しての判断として行っていることをご紹介します。
まずは、周囲の方にその企業の評判を聞きます。これは口コミと異なり「誰の印象か?」がはっきりしている状態での発言になるので、参考にしています。会社の評判って意外に同じだったりします。特に業界跨ぎをする場合、業界によっても感触は異なるので(コミュニケーション一つとっても柔らかい業界と強めの業界など)、そこは注意しましょう。
あと一つは、最近なのですがyoutubeなどの情報は参考にしています(顔出ししている人)。こちらも書き込みと異なり、「誰が発信しているのか?」が分かっているので参考にしています。
ただし、特定の個人や集団の意見になるので、あくまでその会社の社風や業界の雰囲気を知る参考程度です。
ちなみに社風はまだしも、「●●ハラ」に関しては上司によって変わる部分もあるので、そこは「運」「合う合わない」になってしまう部分もあると思いますが。。。
ブラック企業の見分け方
ここまでは、世間でブラック企業ではないか?と推測されているブラック企業の条件?を検証しましたが、ここからは、反対に「こんな所に気を付けよう」という部分をご紹介していきたいと思います。
裁量権を与えてくれる会社
まずは「仕事の裁量を与えてくれる系」の話です。
特に新卒採用で見かける勘違いが、「自分のやりたいことをやれる」ことが良い環境だと思っている学生。新卒でそんなこと出来ません。
スポーツで言えば、未経験者に突然「好きにやっていいよ」と言うようなものです。
裁量権を与えられる、いわゆる「自分のやりたいことをする(好きなようにやる)」という事は、企画から行動・判断・結果に至るまで責任を任せられるということです。当然それだけのプレッシャーが掛かってきます。
その壁を乗り越える覚悟のある方にとっては素晴らしい環境かもしれませんが、「好きに出来るんだ、やった!」と思って入社する方にとっては早期退職に繋がる可能性も高く、結果的に掲示板に「ブラック企業」として書き込みをすることになります。
若手や女性が活躍
「若手」や「女性」というキーワードを使用している求人には、今回の募集において採用したい対象者を現わしている可能性もあるのですが(詳しくは別の記事をご参照下さい)、別の可能性もあります。
まず若手の場合、やたらと「若さ」を売りにしている会社もありますが、前述した「長く在籍している人が少ない」ということになりますので、イケイケの社風だったりハードワークになる可能性もあるということです。
そして「女性の活躍」。これはあえて出すあたりが違和感を感じますが、女性を採用したいという背景意外で考えると、「男女平等で仕事を振るよ」というメッセージにもなるので、「女性だから軽めの仕事」くらいで考えていると足元をすくわれます。
年収や給与が高い
給与が高いことに問題はないのですが、先程も少しふれたように給与は「労働に対して支払われるもの」ですので、給与が高い場合はそれなりに業務内容は大変になります。
これも勘違いしている人が多いのですが、給与が上がるということは、「仕事内容が高度・専門的になること、責任がでること(大変になる)」であり、楽になることはないはずです。
その覚悟なく入社すると、「仕事がきつい」となるわけです。当たり前です。
ちなみに年収が高い場合、インセンティブが大きく関わってくることもあるので、給与面に関しては詳細を確認しておきましょう。
夢や大きな話
最後にやたらと抽象的で大きなことを連続する企業はしっかりと確認して下さい。
例えば「夢」とか「感動」とか。。。
その背景がしっかりとしていれば良いですが、セールスポイントがない場合は、、、、
ブラック企業の定義は「働きやすいか?」
「ブラック企業の方程式は自分で決める」と冒頭でお伝えしましたが、ここまで検証してきたように企業によって様々な状況があります。
結局のところ「ブラック企業」の定義というのは、自分自身にとっての「働きやすさ」になってくるのではないでしょうか?
自分ではっきりとした情報を集め、納得して入社することが最も重要なことです。
「ネット情報など想像だけで判断して入社→思っていたことと異なり早期退社」これは働く環境が原因ではなく貴方自身に責任があるのです。
ブラック企業と決めつける前に、企業選びは慎重に適格に行って欲しいと思います。