採用活動本

「採用学」感想とまとめ

国内で唯一採用学の授業を行っている服部さんの講義は、一度オンラインで聞いたことがあります。
横浜国立大学ですか・・・受けてみたい気はしますが。
以下備忘録です。

A-S-Aモデル

企業がどのような文化や雰囲気、慣行を持つか?

魅了(Attraction)
エントリーしてくる候補者には、既存メンバーと価値観や思考パターンに似た人が多く含まれる。

選抜(Selection)
企業になじまない価値観や思考パターンを持った人は選抜の段階で排除されやすくなる。
これが選抜のメカニズム。

自然減(Attrition)
会社の雰囲気になじまない人は、会社になじむように適用するか辞めてしまう。
この自然減をもってA-S-Aモデルのサイクルは完結する。

採用活動の流れ

募集段階:求職者との出会いをコンントロールする

1.自社に関心を持ち、エントリーの意欲を持つ
→自社にとって魅力的な求職者だけをエントリーさせる

2.自社に興味を持たない求職者
→自社にとって魅力的な求職者を振り向かせ、エントリーさせる

3.自社を知らない求職者
→自社の存在をアピールする

選抜段階:企業と求職者の相互評価

1.エントリーシートや履歴書

2.適性検査

3.グループ面接

4.面接

5.ワークサンプル
プロジェクト立案、機械の修理など実際に仕事をさせて、成果を評価する
(岡山県の病院では米一粒で寿司を握る、小さな鶴を折るなどで集中力や諦めない心をチェック)

6.職務に関するテスト

7.シチュエーショナルジャッジメント
何らかの意思決定を求められる短いシナリオを読ませて判断・行動を回答させる。

8.アセスメントセンター
候補者の能力や資質を多角的に評価する。
ロープレや心理テスト・能力テストなど。

定着

入社後の業績や退社に対して、採用担当者が責任を問われる→10%未満
業績や退職を採用時のデータと紐付けしている→全体の5%å

マッチング
期待、能力、フィーリングそれぞれの確認法や帰結が異なる。
能力や期待よりも非科学的なフィーリングを日本では重視しがちになっている。
長期雇用が重視され、企業と社員の付き合いが長くなる日本では起きがち。

日本の新卒採用は「期待や評価基準が曖昧」

 

「リアルな情報」を見せる

RJP(Realistic Job Preview)
企業が求職者に対して情報公開する際、職務内容や組織環境の実態に徹した良い面だけでなく、悪い面も含めたリアリスティックな情報を与えること。

1.ワクチン効果
ワクチンが免疫を持たせるように、ネガティブ情報も事前に接種させる

2.自己選抜効果
エントリー段階で潜在的な離職者を離脱させる(マッチング率が向上)。

3.コミットメント効果
誠実で正直な企業としてのポジティブ評価。入社後の高いコミットメントを生み出す。

(RJPが上手くいかないケース)

・採用市場の状況。
現実路線の採用が機能するのは、求職者にある程度の選択肢がある場合。
買い手市場の場合は自己選抜は行わないケースが多い。

・競争率が低い
そもそもの採用対象数が少ない場合、応募数を確保することが重要になってくる。

・仕事の種類
ギャップを埋めるためなので、仕事内容が事前にクリアになっている場合は機能しない。

●意思決定

就活初期〜中期にかけては、企業と自分がフィットするかという曖昧な点が重視される。
複数のチャネルから信憑性の高い情報の提供が重要(先輩や第三者情報など)

採用担当者が、直接コントロールできるものは意外に少ない。
「採用プロセスの妥当性」と「社員が親身になってくれるか」くらい

変わる資質と変わらない資質を見極める

変わりゆく採用手法

(1)「脱〇〇」:当たり前を疑い、それをやめる新しさ
三幸製菓「日本一短いES」https://goo.gl/aLRByo
ソニーミュージック「映像のES」https://goo.gl/HpBWjE

(2)入口の多様化
三幸製菓「カフェテリア採用」
サイバーエージェント「マルチエントリー採用」https://goo.gl/hjQGLv
東京一番フーズ「29種類の採用手法」https://goo.gl/jHGRhT
ビースタイル「面接やめちゃいました」https://goo.gl/kgR7o7

(3)エントリー要件明示/自己選抜:来て欲しい人を明確にする、敷居を高くする
ドワンゴ「2525円の受験料」
岩波書店「縁故採用」
星野リゾート「禁煙採用」

(4)採用フローのエンターテイメント化
くらコーポレーション「脱出ゲーム」
IMJ「落ちたら採用します」
ドリコム「就活×脱出ゲーム」

(5)テクノロジー採用:データアナリティクスによる採用
グーグル、yahoo

(6)採用時期の多様化、柔軟化
リクルート、ヤマハ発動機、サイバーエージェント、ガイアックス

(7)採用タイミングの変更
ソフトバンク「年間採用」
ファーストリテイリング「大学1年生対象」
ドン・キホーテ、楽天、ヤマハ発動機「入社時期拡大」

(8)採用ターゲット変更
ドン・キホーテ「海外大卒者」
国際自動車「フリーターを目指す学生」
吉本興業「学歴不問」

(9)採用のブランド化:名称やフレーズなど自社の採用をブランド化させる
三幸製菓「カフェテリア採用」サイバーエージェント「マルチエントリー」
ビースタイル「面接やめちゃいました」