調べたこと

業務委託・非正規雇用・派遣労働・高年齢雇用

業務委託と雇用の違い

アウトソーシングについて

アウトソーシングでは、外注業者と業務委託契約を結んで業務を委託する。
外注業者には就業規則は適用されず、服務規律などに従わせることは出来ない。
機密情報は外部に漏らさぬよう必ず契約書に盛り込むことが望ましい。
また、条件によっては外注業者に支払う報酬から源泉徴収をして税金を支払う必要がある。

源泉徴収を行う条件

①一定の専門職に対する報酬:原稿料、デザイン料、講演料、弁護士、税理士など士業への報酬
②外注者が個人:個人事業主などであり、会社などの法人ではない
③自社が源泉徴収義務者:所得税及び復興特別所得税を差し引いて国に納める義務のある会社や個人

実態が従業員の業務委託

雇用契約か業務委託契約かは、契約を交わしたかどうかではなく実態で決まる。
会社が仕事の進行や時間配分を具体的に指示し、労働時間の管理を行うなど管理している場合は、
実質的に従業員と言える。実質的に従業員となる場合、労働保険などの手続きは必要になる。
※労働者と認められると、労働基準法に基づき過去の残業代などを請求される可能性も高い。

労働者派遣について

派遣労働のルール

(偽装請負は禁止)
形式的には業務委託契約にも関わらず、受け入れ会社が請負元から来た労働者の指揮管理をして、
実態は派遣労働に当たるもの。

(派遣出来ない業務)
①港湾運送業務②建設業務③警備業務④病院等での医療関連業務(医師、看護師など)
⑤弁護士、司法書士、公認会計士、税理士、管理建築士などの士業
⑥使用者側で団体交渉や労使協議を担当する業務
※ただし医師や看護師は紹介予定派遣(最長6ヶ月)であれば認められている。

(派遣期間)
派遣期間には2つの制限がある。
●個人単位(同一の派遣社員)は、同じ組織単位(□□課)で3年を超えて働くことはできない。
→ただし別の組織に移ればそこで3年まで派遣として働くことができる。
→ただし同じ組織でも別の派遣社員を受け入れば、引き続き3年間働いてもらうことができる。

●事業所単位(工場や事務所など)では、派遣社員を3年を超えて受け入れることができない。
→ただし過半数労働組合の意見を聴くor労働者の過半数を代表する者の意見を聞けば良い。

※以上2つに加え日雇いや30日以内の派遣は認められていない。
労働契約申込みみなし制度が適用される。

(時間制限を受けない人・業務)
・派遣元に無期雇用される人
・産前産後休業、育児休業、介護休業の代替要員
・60歳以上
・1ヶ月あたり10日以下の業務
・有期プロジェクト業務

派遣社員について派遣先が主に行うこと

(就業前の注意)
●事前面接の禁止。履歴書の送付も禁止。
●離職後1年以内の元従業員は派遣社員として受け入れ禁止。

(就業開始)
●受け入れ事業所毎に派遣先責任者の選任、派遣先台帳の作成・保存
●苦情窓口を作るなど苦情処理体制を整備
●福利厚生施設、給食施設等の利用の便宜、特に休憩室の使用
●特殊健康診断の実施(定期健康診断の実施は派遣元の義務)
●労働時間の管理
●労災事故の治療手配・届出(派遣元も義務を負う)
●妊娠、出産の健康管理に関する措置
●産前産後の時間外労働、休日労働・深夜業の制限、育児時間への配慮
●継続して1年以上受け入れている派遣社員に正社員募集情報の周知
●3年受入れが見込まれ、派遣元から直接雇用について依頼があった派遣社員に正社員募集の情報周知

(就業終了)
●派遣先の都合で派遣契約を中途解除する時は、新たな就業機会の確保、休業手当などの
支払いにかかる費用の負担。

(労働契約申込みみなし制度)
●派遣労働の禁止業務に従事させたケース
●派遣事業の許可を取っていない会社から派遣社員を受け入れたケース
●個人単位や事業単位の期間制限に違反したケース
●偽装請負のケース

非正規社員について

多様な働き方がある非正規社員

非正規社員とは「フルタイム勤務で期間の定めのない雇用契約をしている正社員」以外の社員
一般的に以下のように思われがちだが、法律の定めはなく会社によって呼称も異なる。
アルバイトやパート:短時間勤務労働者
契約社員:フルタイム勤務で期間に定めのある労働者

非正規社員の保険加入について

●労災保険
全ての従業員が対象

●雇用保険 ※下記2つを満たす琴
①31日以上雇用期間があること
②1週間の所定労働時間が20時間以上あること

●社会保険
(従業員500名以下)
1日または1週間の所定労働時間がその会社の4分の3以上
例:正社員の所定労働時間が1日8時間、1週間40時間→1日6時間以上または1週間30時間以上が対象

(従業員500名以上)
次の4つの条件を満たす場合
①所定労働時間が20時間以上
②年収が106万円(月8.8万円)
③勤務期間が1年以上見込まれる
④学生でない

非正規社員の定期健康診断の受信要件

●次の2つを郷地に満たす場合に年に1度受信させる
①1年以上雇用している(雇用予定がある)
②所定労働時間が同じような業務に就く正社員の4分の3以上ある

短時間労働者(パートタイム労働者)の待遇

短時間労働者について

パートタイム労働法の適用対象になるのは
「1週間の所定労働時間が同じ事業所の正社員の所定労働時間に比べて短い労働者」
フルタイムで働いているようなケースはパートタイム労働法の適用からは除外される。
呼称ではなく、就労実態で判断する。
短時間労働を理由に、正社員との待遇に差をつけることは認められない。
「職務」「人事異動の有無・範囲」などが正社員と同じ短時間労働者は、
賃金・教育訓練・福利厚生面で正社員と同じ扱いをしなければいけない。

短時間労働者の雇い入れ時に文書で明示する事項

●正社員などに文書で明示する事項
       +
●昇級の有無、退職金の有無、賞与の有無
→昇給があるかないかはっきりと明示する。

●相談窓口について
→雇用状況や待遇などについての相談にのる旨や相談担当者の役職、部署、氏名、連絡先など伝え

有期雇用社員の受け入れについて

有期契約社員雇い入れのルール

有期雇用社員とは期間の定めのない労働者の総称。
労働時間の長さでは問わず、労働期間の有無での呼称。
そのため「短時間労働者で有期契約社員のパート」もいる。
このようなケースは「短時間労働者」「有期契約社員」の2つの雇用ルールを意識。

○募集時は有期契約社員を募集することを明示。
※正社員募集とだけ明示することはできない。

○「正社員などに文書で明示する事項」のほか、雇用契約期間・更新の有無・更新の判断基準を明示。
※特に雇用契約の期間は書面かメールで明示

○雇用期間の最長は原則3年。専門的な知識、技術、経験をもつ人、60歳以上の人は上限5年。
※建設工事など一定の事業の完了に必要な期間を定める労働期契約はその期間まで。
※専門的な知識とは学位取得者、医師・公認会計士などの士業、システムエンジニアなど。

○原則として契約期間途中の解雇はできない

○職務内容、人事異動の内容、その他の事情を考慮して正社員と同じ待遇にする。

(注意点)
「自動更新にする」という文言や「○歳(定年)のより先は契約を更新しない」という表記には注意。
自動更新なしや定年=期間の定めなしと解釈される可能性あり。

有期契約社員の更新と雇い止め

有期雇用の期間満了時

雇用契約が満了した際に行うのは以下の2つ
①更新して再契約する
②更新しないで退職してもらう(雇い止め)

(雇い止めが認められないケース)
●これまで有期雇用契約が何回か更新されており事実上無期雇用契約と見なされる
●契約更新が期待されるような合理的な理由

雇い止めを有効にするのは

●就業規則の整備
・雇い止めが前提であることを明示
・更新する場合はその判断基準を記載
・更新の限度回数や契約期間の通算上限を規定しても良い

●雇い入れ時の説明
・雇用契約書で雇い止めを前提とした契約内容を記載
・雇い入れ時に雇い止めを前提とすることを口頭でも説明

●契約期間中の留意点
・更新を匂わせるような言動をしない。
・3年以上更新、1年以上勤務している場合、雇い止めの予告は30日以上前にまでに行う。
 ※予告が必要ない場合もリスク回避の為に行う。
・更新するときは、就業規則に定めた判断基準に基づいて行う。

有期から無期への転換ルール

2018年4月~(2013年4月施行)
有期雇用契約が5年を超えて更新されたとき無期雇用に転換される。
期間は5年目を超える有期契約の1年間。
1年契約ケース:5回目の更新後1年間
3年契約ケース:1回目の更新後1年間
※法人単位、勤務地、職種問わず
※クーリング:無期契約前が1年以上、その後6ヶ月契約がない状態。
※有期雇用から無期雇用契約に転換する場合、助成金活用も検討
(キャリアアップ助成金の正社員化コースが適用)

(手段)
①雇止め②条件変更なしで無期雇用契約社員化
③条件変更有無契約契約社員化④限定社員⑤正社員化

(実施事例)

三越伊勢丹:メイト社員(月給、フルタイム勤務)は2010年から自動無期
2016年以降は入社時より無期雇用。

東都生活労働組合:2014年3月で5年以上の勤務者は無期に転換。
(パート、嘱託問わず勤務年数のみで対象へ)

三井住友海上保険:スタッフ社員(有期)→2016年4月無期・月給・フルに変換

明治安田生命:2015年4月2500人を1年契約→2019年4月で無期雇用。

日本生命(大阪):キャリアスタッフ(時給・フル・有期)を2年、レギュラースタッフ(時給・パート・有期)を5年で無期雇用に変換。

高齢者雇用確保措置

雇用機会の延長について

法令では60歳定年だが公的年金の受給年齢の引き上げに伴い、企業に対して65歳までの雇用機会を与えることが義務化されている。実施するためには下記4つの中からいずれかを選択。

①定年の引き上げ:65歳まで引き上げる(17%)
②定年廃止(2-3%)
③継続雇用制度:定年はそのままで本人の希望があれば雇用を継続(80%)
⇒再雇用制度(雇用形態・賃金の見直し)・勤務延長制度(そのまま)

再雇用制度

高齢者雇用確保措置の中で、大半の企業が採用しているのが再雇用制度。
再雇用制度においては、労働日数、賃金、仕事内容など定年前に比べ不合理な内容でなければ新たな条件で契約して良いとされている。
高齢者雇用確保措置の意図は「全員に雇用機会を設ける」ことであって、「全員を必ず雇用する」ということではないので、無理に再雇用を行う必要はなし。
就業規則に定めた解雇事由や退職事由に該当して、対象から外すような客観的な理由があれば再雇用制度の対象者から外してもよいケースもある。

(契約期間の特例)
契約期間を1年にして、毎年健康状態などを見ながら契約を更新していくのが良い。
有期雇用契約を繰り返すと無期雇用契約に転換される制度もあるが、定年後引き続き会社に雇用される有期社員には適用されない。なおこの特例を使用する為には、「第二種計画認定・変更申請書」に雇用管理措置計画をもって各都道府県労働局の日程を得る必要がある。

高年齢雇用継続給付金制度について

高年齢雇用継続給付金制度は、一定の要件に当てはまる60歳~65歳の労働者に毎月給付金が支給される雇用保険の制度。2ヶ月に1回ハローワークに支給申請を提出する必要がある。

高年齢雇用継続給付金の受給要件

高年齢雇用継続給付金には2つのタイプがある

【基本給付金】

(対象年齢)
・60歳~65歳未満の雇用保険加入者

(低下後の賃金)
・357,864円未満or「低下の基準とする賃金」の75%未満

(低下の基準とする賃金)
・60歳到達時等賃金=60歳になる直前6ヶ月の賃金

(主な要件)
・引き続き雇用、または1年以内に再雇用された
・失業保険をもらっていない
・雇用保険の被保検期間が通算5年以上

(支給期間)
・60歳になった月~65歳になる月まで

(支給額)
・低下率が61%以下:その月の賃金×15%
・低下率が61%~75%未満:その月の賃金×支給率(低下率に応じて0%超~15%未満)

【再就職給付金】

(対象年齢)
・60歳~65歳未満の雇用保険加入者

(低下後の賃金)
・357,864円未満or「低下の基準とする賃金」の75%未満

(低下の基準とする賃金)
・退職直前6ヶ月の平均賃金

(主な要件)
・退職して失業給付を一部受給後、60歳以降で再雇用された
・失業給付の支給残日数が100日以上
・退職前の雇用保険被保険者期間が5年以上
・1年を超えて雇用されることが決まっている
・再就職手当をもらっていない
※再就職手当:失業保険の給付期間中再就職が決まった際、支給残日数が3分の1以上あり、
一定要件を満たせば支給される手当。 支給額:支給残日数×基本手当日額×給付率です。

(支給期間)
・再雇用から65歳になるまでの1~2年間(失業給付の支給日数によって決まる

(支給額)
・低下率が61%以下:その月の賃金×15%
・低下率が61%~75%未満:その月の賃金×支給率(低下率に応じて0%超~15%未満)

在職老齢年金について

在職老齢年金:60歳以上で厚生年金を受け取っている場合、毎月の年金額と総報酬月額相当額に応じ、年金額が一部または全部支給停止となる制度。

(60歳~65歳未満の場合)
厚生年金月額+総報酬月額相当額の合計額28万円超から対象

(65歳以上の場合)
厚生年金月額+総報酬月額相当額の合計額47万円超から対象

さらに「高年齢雇用継続給付」を受ける場合は年金の一部(0.18%~6%)が支給停止になる。