大学訪問

学生が在籍している間に大学訪問する方が良いのか?

採用実績のある大学への訪問

採用(入社が決定)した学生の大学や研究室、ゼミへの訪問に関する質問で多いのが、対象の学生がまだ大学に在籍している間(入社前のタイミング)に、訪問しておいた方が良いのか?という質問です。

いわゆる「採用お礼の訪問」です。

やはり出来るだけ該当する学生が、まだ大学に在籍している期間中(卒業前の年度内)に訪問を行った方が良いのでしょうか?

この場合、通常の大学訪問とは異なり「実績大学」への大学訪問になるので、本来であれば何の躊躇もせず「行くべき」だと思うのですが、考えなければいけないのがその「時期」と「目的」です。

学生が在籍している間に大学訪問する最大のメリットは、「在籍している研究室やゼミの先生へのコンタクト(アポイント)が取りやすい」ということです。

大学の学部や学科には(特に理系の場合)、「就職幹事」と呼ばれる就職に関わる役職を持った教授がいることが多く、採用活動に関して企業の窓口対応は原則としてこの先生が行います。

そのため、基本的に就職幹事以外の先生にアポイントを取得しようと試みても、「就職担当に連絡してください」と断られるのですが、研究室の学生を採用しており、かつその学生がまだ在籍している場合は、就職に関係な先生であっても、訪問が断わられるケースは非常に稀です。

会う機会が、なかなか取れない先生かもしれないからこそ、「実績大学」へのアプローチは積極的に行った方が良いです。

※ちなみに断られる場合の理由としては「学会や出張、年度末(年末)などで時間を取るのが難しい」ということが多いですが、そもそも「時間ぐらい作れるだろう」というのがこちらの本音です。

目的によって異なる時期

さて、本題から少し話が逸れましたが、対象学生が、大学に在籍している間に大学訪問をしておいた方が良いのか?という回答に戻りたいと思います。

前段で「時期」と「目的」と書きましたが、以下の3点のうち、どれを目的にするかによって変わってきます。

①先生と接点を持つことを目的とする

②学生をフォローすることを目的とする

③採用学生から別の学生への広がりを目的とする

このうち①を目的とするのであれば、大学を訪問するタイミングは、学生が卒業する前でも後でもそれほど問題はなく、反対に②は年度内が絶対であり、③は状況次第ということになります。

それではそれぞれを詳しく説明していきたいと思います。

先生と接点を持つことを目的とする

まずは大学訪問の目的を「先生との接点」としたケース。

この場合は、通常の大学訪問では、就職担当以外になかなかアプローチ先を広げることが出来ないため、学生の就職を機会に接点を図ることを目的とした訪問になります。

この訪問に関しては、先生との接点を目的としているため「学生が大学に所属している時期か?」というのはあまり関係なくなります。

卒業した後に訪問に伺うことを伝言しておいてもらったり、連絡先をHPやネットに掲載していない先生も多いため、事前に学生から連絡先を聞き出しておいたりすれば(入社後すぐに連絡が取れる場所に配属になれば入社後に聞いても大丈夫です)、春先以降や夏前などに訪問しても問題ないでしょう。

その際は、ぜひ近況などもお伝えしましょう。

学生をフォローすることを目的とする

次に大学訪問の目的を、「学生フォロー」にしたケース。

この場合は、確実に学生が在籍している間に行くべきです。

時期としては、最も内定辞退が多く発生するであろう「GW前後辺り」と、遅めの内定組が選考を進めている「夏休み前」くらいが最も効果が高い気がします。

もちろん内定式後の時期に訪問するのも良いのですが、そのタイミングでの辞退は学生によっては深刻度が高いことも多いので、大学訪問でのフォローは少し違うのかな?と思います。(場合によっては内定承諾後の辞退になるタイミングですので・・・)

他の学生への広がりを目的とする

最後はこちらの目的。

要は、採用した学生から友人や後輩へ繋げてもらうケースです。

「まだ採用活動をしているので、就活中の友達がいたら案内してみて」

「後輩達も就活を始めていると思うから、ぜひ案内してみて」

これまでの中で最も簡単そうに思えますが、恐らく一番難しいです。

というのも、捉え方次第では内定を出している学生に「誰でもいい」というニュアンスを持たれてしまうかもしれないからです。

最近は「第三者からの紹介」を参考にする傾向も増えて来ているので、良い方法ではあるのですが、この場合は「ガツガツ」行かない方が良いです。

この攻め方は、ある程度学生との信頼関係が構築された段階になったら始めて下さい。非常に危険です。

訪問時の注意点

「時期」と「目的」の意味を理解して頂いたところ、その他注意点です。

まずはアポイントの取り方ですが、こちらも前述したように、学生が在籍している間に訪問する際は、アポイントの調整は基本的には学生に任せてしまった方がよいです。

先程ご紹介したように、断られる可能性もゼロではないので、最悪の状況を考えて学生に依頼しましょう。

その際の注意点としては、「なぜ訪問するのか?」という目的をしっかりと伝えてもらうことです(レターを作成しても良いです)。

また、「学生が在籍している期間」ということで、あわてて年度末に訪問する場合も気を付けてください。

年度末というのは、採用活動でいうところの「繁忙期」が始まるタイミングになるため、近場の大学でなければほぼ一日が潰れてしまいます。

躊躇してしまう気持ちがあるのならば、一度冷静に考えてみてください。どちらの優先度が高いか?

キャリアセンターはどうする?

最後に、キャリアセンターへの訪問についてです。

入社実績のある大学のキャリアセンターへの訪問ですが、こちらの優先度はかなり低くなります。

なぜならば、学生が在籍している間に訪問するメリットが殆んどないからです。

たしかに研究室などに比べると、「採用実績」を気にするキャリアセンターではありますが、キャリアセンターは一部の大学を除き、アポイントは容易に取得できます。

あえて時期を考える必要性はなく、こちらの訪問タイミングで時間があれば立ち寄る程度で良いでしょう。

採用実績があった翌年にキャリアセンターを訪問すると、しっかりとデータを取っていたり、把握している職員の方であれば、先方から採用のお礼を述べるはずです(大学の規模にもよりますがここでキャリアセンターの良し悪しを見分けるのも一つの手です)。

コロナ前は大学の学食で、採用担当者らしき人物が学生と面談をしているのをよく見かけましたが、最近は殆んど見かけなくなりました。

大学訪問の復活と共に、学食フォローがまた始まるんでしょうか???